ひとはなぜ飽きるのか?

答え1「その曲のパターンを学習(理解)してしまうから。」

認知心理学脳科学学習心理学などの分野で研究されています。

理論では

 その人にとって

  ・飽きないこと(面白いこと)とは、その人が過去に経験にているものに似ていて、ちょっと違うものを学習(理解)している状態こと(ある程度先の展開が予測できるが、過去に経験したことがない新しい展開/知見が発見できる)もの。

  ・飽きること(つまらないもの)とは、完全に知っている(理解済み)状況のことで、先の展開が完全に予測できるもの。  

とされています。

その状況の表現のひとつとして、”学習曲線”が、学問の成果としてあります。数値的に表現できます。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AD%A6%E7%BF%92%E6%9B%B2%E7%B7%9...


ですので、ある曲が飽きやすい曲か、飽きにくい曲かは、各個人の音楽経験によって異なることになります。

 飽きやすい曲は、過去にその人が聞いたことがある曲に非常に似ていて、新しい曲パターンがほとんどなく、すぐに理解できてしまうもの、飽きにくい曲は、過去にその人が聞いたことがある曲とはかなり異なっているが、そのエッセンス(パターン)が含まれているて、かつ、学習すべき新しい曲パターンがたくさんあるもの、と解釈できます。

曲のパターン分析として、こんな論文がありました

演奏家の経験知識を用いた音楽構造分析」

http://www.jaist.ac.jp/library/thesis/ks-master-2000/paper/sanya...


ネタ元として以下の本をあげておきます。ゲームのおもしろさをテーマにした本です。「飽きる」を「つまらない」と置き換えることで、飽きる理由の一端を知ることができます。また、p28ほか音楽を例にしたものがいくつか提示されていますので、参考になるかと思います。

”「おもしろい」のゲームデザイン―楽しいゲームを作る理論”

「おもしろい」のゲームデザイン―楽しいゲームを作る理論

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答え2「その曲の価値を消費してしまったから」

こっちの方の答えの方が、納得しやすいかも。

経済学、社会工学などの分野で研究されています。

「限界効用逓減の法則」というものがあります。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%99%90%E7%95%8C%E5%8A%B9%E7%94%A...

一部の人たちの間では、俗称で「かっぱえびぜんの法則」と呼ばれています。

”お菓子のかっぱえびぜん、最初の1個はむちゃくちゃウマイが、2個目、3個目となると、最初のおいしさはなくなり、最後の1個になると、おいしく感じなくなってしまう。最後には飽きて、食べなくなってしまう。”というものです。

最初の1個も、最後の1個も、同じかっぱえびせんでなのに、最初の1個と、最後の1個のおいしさの価値が違ってしまう。しかも回数を重ねていくうちに価値が逓減していき、ある程度までいくと価値がなくなってしまう。

限界効用逓減の法則は、X軸を回数、Y軸を価値とする、右肩上がりの曲線として描かれます。


音楽に直すと

”最初に聞いた時には価値があった(飽きなかった)のに、10回も聞くと価値がなくなり、飽きた”ということになります。もちろん曲によって異なります。早く飽きる曲は、最初に聞いた時の価値がすごくあり、限界にはすぐにたどりついてしまう場合が多いです。飽きない曲は、最初に聞いた時に価値があまりなく限界に達するのが遅い場合と、最初に聞いた時に価値があるが逓減率が低く限界に達するのが遅い場合が考えられます。

もちろん、各個人によって、曲によって、価値は異なり、描かれる曲線グラフも異なりますが、右肩上がりで推移し、いつか限界に達することにかわりありません。

この法則に関する音楽分野の具体的な成果は検索できませんでした。

以上、参考になれば幸いです。

長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。
http://q.hatena.ne.jp/1154144103